『持続化給付金』個人事業主で売上0や赤字の場合の対応

持続化給付金

持続化給付金を申請するには2019年度の売上と2020年の売上の比較が必要です。

では今年創業し2019年の売上がゼロの場合、去年赤字だった場合はどうでしょうか。

申請できないのでしょうか。実はそんなことはありません。

今回は「売上ゼロ」「赤字だった」という方に向けて申請方法や給付金の計算方法を解説します。

赤字や売上0円という個人事業主でも持続化給付金も対象

現在個人事業主として収入を得られている方で、下記のような場合には持続化給付金がもらえないと思っておられる方もいらっしゃるかもしれません。

  • 2019年度の利益がゼロであったり、赤字であったりする場合
  • 2019年度の確定申告をしていない場合
  • 2020年1月以降に開業したため2019年の売上がゼロの場合

実はこのような場合でも持続化給付金が受け取れる場合があります。

本記事では下記の項目について説明いたします。

  • 昨年(2019年)の利益が無い場合でも給付対象となる条件
  • 給付額の計算方法
  • 提出する必要がある書類
  • 取り寄せる必要がある書類

意外と簡単ですので、しっかり準備して給付金をもらい損ねることがないようにしましょう。

利益0円でも持続化給付金の受け取り対象となる理由

経済産業省は持続化給付金の主な対象者として以下のように発表しています。

新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売り上げが前年同月比で50%以上減少している事業者

ここで注目すべきはその事業の「利益」ではなく「売り上げ」の前年同月比で給付対象かどうかが決まってくるということです。

利益が前年度と比べてどれだけ減少したかは給付金の対象範囲やその額に影響しません。

そのため、2019年度の利益がゼロであったり、赤字であったりする場合も給付金の対象となる可能性があります。

給付金を決めるための所得は事業所得・給与所得・雑所得

もともとは事業所得として売り上げが申告されていないと給付対象にならなかったのですが、2020年5月21日にその範囲が拡大されて雑所得や給与所得での申告も対象となりました。

雑所得や給与所得で申請する場合、その所得が主たる収入であることを証明する必要があるため注意してください。

証明するための具体的な書類としては業務の発注先が発行した源泉徴収票や支払調書などが挙げられます。

持続化給付金の受け取り対象外となる場合とは?

給付金の受け取り対象から外れる例として、以下のような場合が挙げられます。

  1. 2020年4月以降に開業した場合
  2. 今後事業を継続するつもりが無い場合
  3. 経済産業省が発表しているコロナ感染症拡大による売り上げ減少の基準を満たしていない場合

3の基準については「ひと月の売り上げが前年同月比で50%以上減少していること」が一般的です。

ただ、正確には場合によって定義が変わってくるため、下記の計算方法のところで別途分かりやすく説明します。

条件を満たしても給付金の受け取り対象外になるケース

その他、売り上げや開業の条件を満たしていても給付金の受け取り対象外となる場合として、以下のような例が挙げられます。

  1. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する「性風俗関連特殊営業」、当該営業に係る「接客業務受託営業」を行う事業者
  2. 宗教上の組織若しくは団体
  3. 1、2に掲げる者のほか、給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと中小企業庁長官が判断する者

あくまで給付の対象となるかどうかは中小企業庁長官が判断するようなので、迷った方は一度申請してみましょう。

持続化給付金の計算方法/赤字や売上0円の個人事業主の場合

上述した通り、持続化給付金の給付額の計算は「売り上げ」に基づいて行われるため、利益や赤字は考えなくてOKです

ちなみに個人事業主がもらえる給付金の上限額は100万円と定められています。

そのため、例えば算出した額が200万円など100万円を超える場合でも持続化給付金は一律で100万円となります。

持続化給付金の計算方法(青色申告の場合)

まずは青色申告の場合について説明します。給付される持続化給付金の計算を行うためには、まずは給付要件を満たす月を決定しなければなりません。

経済産業省が公開している条件、すなわち「ひと月の売り上げが前年同月比で50%以上減少している」という月のことです。

下記に実際に例を出して説明します。

上記表1の赤太字の部分が給付要件を満たす対象月です。対象月が決定できましたら、下記の式に当てはめることで給付金額を計算できます。

給付金額:2019年総売上-2020年の対象月の売上×12か月分

具体的に数字を入れると以下のようになります。

給付金額:360万円-20万円×12か月分=120万円

ただし、この120万円という額は上限の100万円を超えているため、この場合にもらえる持続化給付金は100万円です。

持続化給付金の計算方法(白色申告の場合)

続いて、白色申告の場合について説明します。

白色申告の場合、2019年1月~12月の月平均の売り上げに対し、2020年の任意のひと月の売り上げが50%減少した月があれば給付の対象となります。

青色申告の場合とは判断基準が異なるため、場合によっては給付金をもらえなくなるケースもありますのでご注意ください。

文章だけではわかりづらいと思うので、さきほどのケース1をもとに説明します。

この場合、赤太字で示した2019年の月平均の売り上げ30万円に対して、2020年のひと月の売り上げが50%以上減少している月(額で示すと15万円以下の月)はありません。

そのため、ケース1のような場合に白色申告をしていると給付金の受給対象外となります。続いて白色申告でも給付が認められる場合について説明します。

表2では2020年4月の売り上げが10万円になっており、2019年の売り上げの月平均の50%を下回っているため、持続化給付金の給付対象です。

白色申告で給付が認められる場合の給付額の計算式は下記のようになります。

給付金額:(2019年の売上の月平均-2020年の任意の月の売上)×12か月分

実際に数字を入れると次のようになります。

給付金額:(30万円-10万円)×12か月分=240万円

この場合も個人事業主がもらえる持続化給付金の額100万円を超えているため、実際に給付される額は100万円です。

2019年に開業した方について

2019年に開業した方は2019年の売り上げがすべてそろっているわけではありませんが、給付金の対象となる場合があるので、2019年7月に開業したケース3をもとに説明します。

2019年中に開業した場合は上述した白色申告と同じく、2019年の月平均の売り上げの50%を2020年の任意の月の売り上げが下回っていれば給付対象となります。

2020年1~3月開業した方について

もともと2019年12月31日以前に開業された方のみ給付対象でしたが、5月21日の経済産業省からの発表により、2020年1~3月開業の方も給付金の給付対象となることが明らかになりました。

2020年に開業した方については「1~3月の売り上げの月平均の50%をコロナ感染症拡大後の任意のひと月の売り上げが下回る場合」に給付金の対象となります。

ケース4で例を挙げて具体的に説明します。

表4 月ごとの売り上げ(ケース4)[単位:万円]

この場合、1~3月の売り上げ平均20万円に対して4月の売り上げが10万円となっており、1~3月の月平均の50%以下であるため給付の対象となります。

給付金の額を計算する式はこちらです。

給付金額:(2020年1~3月の売上の月平均-2020年のコロナ感染症拡大後の任意の月の売上)×12か月分

具体的に数字を入れると以下のようになり、個人事業主としてもらえる持続化給付金の上限100万円が給付額となります。

給付金額:(20万円-10万円)×12か月分=120万円

一方で、以下のケース5のように1月の売り上げが最も少なかった場合は、「2020年のコロナ感染症拡大後の任意の月」という定義に当てはまらないので給付金の対象とはなりません。

単に1月後半に開業したために1月の売り上げが少なかったという方を避けるためだと考えられます。

持続化給付金の提出書類/赤字や売上0円の個人事業主の場合

去年赤字だった個人事業主が持続化給付金を申請する場合に必要になる書類を解説します。

赤字で課税所得がなかった場合、2019年分の確定申告を行っていないケースもあるでしょう。そのため、「確定申告をした方」と「確定申告をしていない方」に分けて解説します。

2019年分の確定申告をした方の提出書類一覧

2019年分の確定申告をされている場合、必要書類は以下の4つです。

  1. 確定申告の書類
  2. 通帳の写し
  3. 売り上げ台帳票等(Excelソフトや手書きのものでもOK)
  4. 本人確認書類

また、2019年以降に開業された方については別途、受付印が押印された事業開始等申告書が必要になります。

具体的にそれぞれの書類でどのような情報を提出すれば良いのかについて下記で説明します。

確定申告の書類

以下のいずれかの形式で提出が可能です。

  • 青色申告の場合:確定申告書第一表の控え(1枚)、所得税青色申告決算書の控え(2枚)
  • 白色申告の場合:確定申告書第一表の控え(1枚)

このとき提出する第一表には収受日付印が必要ですのでご注意ください。

また、e-Taxでの申告でも提出が可能です。この場合、収受印が無いためそれに相当するものとして受付日付がわかる受信通知を同時に提出する必要があります。

通帳の写し

「銀行名・支店番号・支店名・口座種別 ・口座番号・口座名義人」の情報が必要となります。

通帳の場合は表紙と見開きの1,2ページ目の画像を、通帳が無いネット銀行のような場合は上記の情報がわかる画面等を提出する必要があります。

売り上げ台帳票等

特に書き方に決まりはなく、会計ソフトやエクセルの電子データに限らず手書きの帳簿等でもOKです。

その際、給付の対象となることを示すために「何月にいくらの売り上げがあったのか」がはっきりわかるようにしておきましょう。

本人確認書類

本人確認書類としては以下のうちいずれかを提出する必要があります。

  1. 運転免許証(両面)(返納している場合は、運転経歴証明書で代替可能)
  2. 個人番号カード(オモテ面のみ)
  3. 写真付きの住民基本台帳カード(オモテ面のみ)
  4. 在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書(在留の資格が特別永住者のものに限る。) (両面)
  5. 住民票の写し及びパスポートの両方 ※パスポートは顔写真の掲載されているページ
  6. 住民票の写し及び各種健康保険証の両方

いずれの書類も申請時に有効期限が切れていないこと、住所等が間違っていないことを確認のうえ、提出してください。

2019年分の確定申告をしていない方の提出書類

2019年の利益が無かった場合は確定申告の義務が無いため、確定申告していないという方もいらっしゃると思います。

その場合、収受印のある確定申告書の控えの代わりに以下の(1)と(2)または(1)と(3)の書類を提出することで代用が可能です。

  1. 2019年の市区町村民税・特別区民税・都道府県税の申告書類(収受印の押印あり)
  2. 2019年の収受印の無い確定申告書
    青色申告の場合:確定申告書第一表の控え(1枚)、所得税青色申告決算書の控え(2枚)
    白色申告の場合:確定申告書第一表の控え(1枚)
  3. 2018年の収受印ありの確定申告書の控え
    青色申告の場合:確定申告書第一表の控え(1枚)、所得税青色申告決算書の控え(2枚)
    白色申告の場合:確定申告書第一表の控え(1枚)

(1)と(2)を提出した場合は、2018年の売り上げが比較対象となります。

2019年の確定申告をまだ出されていない方は、2018年の売り上げも考慮して申請する方法を決めるのがおすすめです。

必要書類の取得方法

納税証明書は税務署にて請求が可能ですが、混雑が予想されるためオンラインでの申請をおすすめします。オンライン申請は国税庁のホームページより可能です。

まとめ

確定申告の収受印が無い場合でも給付対象になったり、手書きの売り上げ台帳でも認められたりと、製剤産業省は給付金の間口を広く取ってくれているようです。

個人事業主の方々の事業継続は経済を成長させるために重要であり、そのために政府も給付対象拡張等の対応をしているのだと思います。

本記事に書いたように利益が出ていない場合でも給付の対象となるので、事業を継続させるためにもぜひ申請してみてください。

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