【経営者必見】コロナで人件費削減は危険!?4つのデメリット

人件費削減

コロナの影響が深刻になってきています。サプライチェーンのストップや、外出自粛要請などによる消費減退…。業績が悪化し倒産している企業も出てきている状態です。

そうした中、給与カットやリストラといった人件費削減でコロナ禍を乗り切ろうと考えている経営者も多いのではないでしょうか。

コロナショックの直撃を受けている飲食店では、非正規雇用者(アルバイトやパート)などのシフトカットも行われています。

ただ、こうした人件費削減には様々なデメリットが…。今回は人件費削減を検討している経営者の方に向けて、以下のポイントを解説します。

  • 人件費削減のデメリット
  • 人件費削減の前にすべきこと

他のサイトでは語られていないデメリットについても言及しています。人件費削減で新たな問題が起こしたくない方はぜひ確認しましょう。

人件費削減によるデメリットは4つ

「勤務時間を減らして人件費を減らす」「社員を減らして人件費を減らす」「給与を減らす」などを行うと人件費(=固定費)を大幅に減らせます。

コロナの影響で業績悪化が避けられない状況で、この削減効果は大きいでしょう。しかし、人件費削減には以下の4つのデメリットがあります。それぞれ解説していきましょう。

  • デメリット(1)社員のモチベが下がる
  • デメリット(2)会社の評判が下がる
  • デメリット(3)人手が不足に陥る
  • デメリット(4)争訟リスクがある

人件費削減のデメリット(1)社員のモチベ低下

業績悪化に伴って「賃金カット」や「シフトカット」「リストラ」といった人件費削減を行った場合、デメリットとして真っ先に挙げられるのは「社員のモチベーション低下」でしょう。

残念ながら、これはスグに現れてしまいます。社員のモチベーションが低下することで、仕事のパフォーマンスも低下。

営業であれば「契約が取れない」、事務であれば「仕事のミスが増える」といったことが起こる可能性があるのです。

業績が落ちたらから人件費削減は経営者の理屈

経営者側の理屈としては「業績が悪いんだから仕方ないだろ!」と言いたいところでしょう。

ですが、社員にも「生活があるから困る」「仕事は同じなのに給与だけ減るのオカシイ」といった言い分があるのです。

給与体系などを変える際は、社員の同意が必要です。が、仮に同意があったとしても、内心では会社に対する不平不満が溜まっています。

そのため、仕事に対するモチベーションがどうしても下がってしまうのです。

人件費削減で利益を確保するはずが、肝心の売上が低下。期待していた効果を得られないリスクはゼロではありません。人件費削減を行うならこうしたデメリットに注意しましょう。

人件費削減のデメリット(2)会社の評判が低下

給与カットやシフトカット、そして雇用カット。こうした人件費の削減施策を行うと会社の評判が下がってしまうのもデメリットの一つです。

「今は評判なんて気にしてられない!」と思う経営者の方もいるかもしれませんね。ただ、長期的にみるとかなり経営的にイタいのです。詳しく解説しましょう。

評判が低下⇒採用力が低下⇒事業維持が難しくなる

人件費削減対策を行った場合、後述しますが、人材が流出します。「給与が減った」「ボーナスを減らされた」となれば、社員の一定数は今より良い会社を求めてしまうからです。

こうしたケースで会社を去る社員たちは、転職者が利用する会社のクチコミサイトで、会社のことを悪く書く傾向があります。

会社の評判が下がると求職者からの印象も悪く映るため、応募が集まりません。評判が下がる分、採用力の低下を招いてしまうのです。

人件費削減でなんとかコロナ禍を乗り切ったが、採用力の低下に伴って組織拡大ができない(汗)…なんてこともゼロではありません。

短期的に見れば、会社を存続する方法として人件費削減は有効です。融資する銀行からの評価も上がる場合もあるでしょう。しかし、長期的な視点で見ると上記のようなデメリットもあるのです。

人件費削減によるデメリット(3)人手が不足

デメリット(2)でも少し言及しましたが、人材の流出が起きてしまうのも人件費削減のデメリットです。

給与をカットすれば、他でもっと稼げるところに行きたいと思うのは当たり前。飲食店やサービス業では減給措置よりシフトカットを行うケースが多いと思いますが、これも同じです。

給与カットや雇用調整などを行ったことで、事業の維持が難しくなるほど人が減ってしまっては元も子もありません。

希望退職制度で優秀な社員から辞めていく皮肉

ちなみにこうした人材流出では、優秀な社員ほど抜けてしまう可能性があります。例えば、希望退職制度はその最たる例と言えるかもしれません。

優秀な人材ほど今より良い条件を提示する会社から声ががかかり、希望退職制度を活用した上で次の転職先に行くケースがあるからです。

会社としては残ってほしい社員が抜けて、辞めてほしい社員ほど残ってしまうなんとも皮肉な展開が起きてしまいます。

この場合、前述した社員のモチベーションの低下も招きやすいです。人件費削減をきっかけに事業が傾くリスクが出てしまうのです。

人件費削減によるデメリット(4)争訟リスク

人件費削減で給与体系の変更やシフトカットを行った場合、争訟リスクに発展する可能性があります。意外と他のサイトでは書かれてませんが、これもデメリットです。

争訟リスクとは?どんなことが起きる?

例えば、給与カットを実施した場合、給与カットの撤回や減らされた給与の保証を求め社員から訴えられるケースが発生します。

弁護士をつけて訴える場合(労働審判や訴訟)もあれば、労働組合またはユニオンを通して、団体交渉権を用いるケースもあるでしょう。

この場合、会社側は無視することが原則できません。コロナで経営が危機的状況の中、争訟に時間とパワーを割けなければならないのは経営者側として大きなデメリットではないでしょうか。

なぜ争訟リスクが起きるのか?

原則、合理的な理由がなければ会社は労働者に不利になるような変更ができません。賃金カットや雇用調整はそもそも非常にハードルが高いため、争訟リスクも高くなってしまうのです。

例えば、会社側が給与カットの同意書を社員から得られていたとしても「社員の自由意思で同意していない」となれば、違法行為になります。

実際に同意書を取った後に社員側から「実際は納得していなかった」と言われ労働審判が発生。同意書が無効となったケースもあります。コロナで大変な時期の中で、争訟リスクを抱えるのはデメリットと言えるでしょう。

まとめ

人件費削減は固定費を圧縮できるため、コロナショックなど経営危機のときに有効です。とは言え、前述したとおり、4つのデメリットがあるため注意しなければなりません。

これらのデメリットは、どんなに慎重に人件費削減の施策を行っても発生する可能性があります。争訟リスクについては、正式な手続きをしたとしても訴えられる可能性をゼロにできません。

人件費削減を検討している経営者は人件費削減の効果とデメリットを天秤にかけて慎重に判断してみてください。

加えて、人件費にメスを入れる前に他にコストカットができる余地がないか検討したり、国や自治体の支援を活用したりするのも忘れないようにしましょう。

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